転職活動を成功させるためには、履歴書と並んで職務経歴書の作成が重要なポイントとなります。職務経歴書はこれまでの職務内容とスキルをアピールすることができる貴重な書類です。この記事では、採用担当者が職務経歴書で何を見ているのかを解説するとともに、職種や状況に合わせた書き方のコツと豊富なサンプルをご紹介します。職務経歴書の内容を磨き上げ、転職活動の成功確率を高めましょう。
転職活動で職務経歴書が重要な理由
転職活動において、職務経歴書は履歴書と並ぶ最重要書類の1つです。職務経歴書にはこれまでの職務内容と貢献した実績を記載するため、採用担当者は応募者のスキルと経験を詳細に判断する材料として活用します。
採用担当者にとって職務経歴書は、応募者が求人要項に合致する適任者かどうかを見極めるための決定的な材料ともなります。求人要項にマッチした実務経験が記載されていれば、その応募者の採用可能性も高まります。
また職務経歴書は、履歴書では伝えきれない応募者の魅力をアピールできる大切な機会でもあります。自身の実績を具体的に記載し、強みを積極的にアピールすることで、採用担当者に好印象を与えることができるのです。
このように転職活動では、職務経歴書の内容が合否に大きな影響を与えます。魅力的な職務経歴書を用意することが、転職成功の近道となるのです。
職務経歴書の基本的な内容
それでは、職務経歴書にはどのような内容を記載するのが基本的なのか見ていきましょう。
(1)会社名・部署名・役職名・期間
職務経歴書における基本的な情報として、以下の4点を記載します。
- 会社名:勤務した企業の名称
- 部署名:所属していた部署や課の名称
- 役職名:就いていた役職名
- 期間:勤務期間(西暦年月表記)
複数の職歴がある場合は、入社した順に新しい職歴を上に並べていきます。
(2)業務内容と実績の具体的な記載
上記の基本情報に加えて、職務経歴書の肝となるのが「業務内容」の記載です。自身が担当した業務内容と、そこで得た実績をできる限り具体的に記載します。
業務内容を記載する際のポイントは以下の3点です。
- 使用したスキルを明記する
- 成果を数字や事実で表現する
- 業務の工程・流れを時系列で記載する
例えば「新規事業の立ち上げに従事し、市場調査と収益計画の作成を行い、2年目に黒字化を達成した」のように、スキルと成果を明確に示す記載が理想的です。
採用担当者が重視するポイント
採用担当者が職務経歴書で重視するのは、大きく以下の3つのポイントになります。
(1)求人要項との整合性
まず採用担当者が注目するのが、職務経歴書の内容と求人要項の整合性です。求人要項に記載された条件・要件と、応募者の経験がどの程度マッチしているかを確認します。
求人要項に合致するような実務経験の有無が、面接選考の合格可能性に大きな影響を与えます。採用担当者は職務経歴書を解析し、応募者を求人要項の条件に照らして評価していきます。
(2)業務内容の具体性と詳細さ
次に注目されるのが、業務内容の記載具体性と詳細さです。採用担当者は職務経歴書から、応募者の真のスキルと経験年数を見極めようとします。
そのため、業務内容を単なる職務命名ではなく、使用したスキルと成果を含めて具体的に記載することが強く求められます。「○○の業務に5年従事」といった抽象的な記載は避けるべきです。
(3)文章表現とレイアウトの読みやすさ
3点目は、職務経歴書全体の文章表現とレイアウトの読みやすさです。採用担当者は多くの応募書類を処理するため、読みやすい書類ほど評価が高くなります。
一方で、読みにくい職務経歴書は採用担当者に否定的な印象を与える可能性も。見出しの工夫や箇条書きの活用など、読みやすいレイアウトを心がけることが大切です。
職種変更時の記載のコツ
次に、異業種からの転職など、職種を大きく変更する場合の職務経歴書の書き方について見ていきましょう。
職種変更時の場合、これまでの職歴と新たな応募先の求人内容が必ずしも一致しません。この場合の職務経歴書の書き方のポイントは以下の2つです。
(1)関連業務をアピールする
まずはこれまでに経験した、応募先と関連性の高い業務を職務経歴書でアピールします。直接的な適任経験はなくとも、関連する業務経験があれば可能な限り記載します。
例えば、営業職から事務職への転職を想定。実務は異なるものの、顧客とのコミュニケーション能力などの関連スキルをアピールすることが重要です。
(2)汎用的スキルをアピールする
2つ目は、職種に関係なく汎用的に求められるスキルを記載することです。顧客対応力やコミュニケーション能力、チームワークなどは多くの職種で必要とされるスキルです。
こうした汎用スキルをこれまでの職務経験から読み取らせる記載をすることで、職種変更に対する採用担当者の理解を得られるでしょう。
書き方の具体例とサンプル
ここからは、具体的な職務経歴書の書き方例とサンプルをいくつかご紹介します。
(1)営業職用の職務経歴書サンプル
まずは営業職の職務経歴書サンプルを見てみましょう。営業職は成果主義の職種のため、数字を用いた成果記載がポイントになります。
<営業職職務経歴書 サンプル>
氏名:
生年月日:
職務経歴
2020年4月 ~ 現在 株式会社○○(従業員数300名 業種:卸売業)
営業部 課長
・A県を担当エリアとした医薬品卸売業務に従事
・主に病院を対象に、新規開拓と受注拡大を実施
・受注額は前年比20%増加の1億2,000万円を達成
・新規取引先は前年比30社増加の合計80社獲得
・営業部の業績最高を更新する結果を出す
2018年4月 ~ 2020年3月 株式会社○○(従業員数150名 業種:卸売業)
営業部 副課長
・B県を担当エリアとした医療機器卸売業務に従事
・新規顧客開拓を主任として指導
・新規開拓件数は前年比20%増の成果を達成
2015年4月 ~ 2018年3月 株式会社○○(従業員数300名 業種:卸売業)
営業部 営業課
・C県の病院を担当し、医療消耗品の受注営業を実施
・3年目に月商2,000万円超を達成
<スキルと資格>
・医療機関との営業交渉力
・営業企画力、マーケティング力
・営業用SFAシステムの操作スキル
・医薬品販売手帳
(2)事務職用の職務経歴書サンプル
次に事務職の職務経歴書サンプルをご覧ください。事務職の場合は業務プロセスを時系列で示す記載が大切です。
<事務職職務経歴書 サンプル>
氏名:
生年月日:
職務経歴
2019年4月 ~ 現在 株式会社○○(従業員数500名 業種:サービス業)
総務部 総務課
・社内イベントの立案・実施を担当
・季節イベント計15回を企画・運営し、社員満足度を80%に向上
・イベント実施のための社内予算執行とactual管理
・イベント関連の外部業者との交渉と発注管理業務
2017年4月 ~ 2019年3月 株式会社○○(従業員数300名 業種:サービス業)
経理部 経理課
・給与計算業務を担当(社員数100名分)
・源泉徴収簿の作成と納付書発行業務を実施
・各種社会保険および労働保険手続きを担当
<スキルと資格>
・イベント運営スキルとノウハウ
・予算管理能力
・給与計算業務プロセスの知識
・社会保険労務士
(3)営業事務職用の職務経歴書サンプル
最後に、営業事務職の職務経歴書サンプルを確認しましょう。
<営業事務 職務経歴書 サンプル>
氏名:
生年月日:
職務経歴
2020年4月 ~ 現在 株式会社○○(従業員数300名 業種:小売業)
営業部 営業支援課
・営業社員10名の業務支援を担当
・顧客訪問履歴と商品発注データの管理
・営業日報・活動報告書の取りまとめ作業
・営業ツール(タブレットPC)のセッティングと管理
・営業社員向けの日程調整と訪問予定の管理
2018年4月 ~ 2020年3月 株式会社○○(従業員数200名 業種:小売業)
営業部
・店舗担当者からの週次報告のとりまとめ
・売上データの統計処理と分析レポート作成
・新規顧客リストの作成と営業社員への配布
2015年4月 ~ 2018年3月 株式会社○○(従業員数100名 業種:小売業)
営業部
・営業担当者からの日報・訪問報告の内容確認
・顧客情報のファイリングと管理
・来客対応と商品案内
<スキルと資格>
・営業支援業務5年以上
・MS Office活用力
・商品知識と業界知識
・ビジネスマナー検定2級
チェックポイント
職務経歴書の内容を仕上げたら、最後に採用担当者の視点で以下のチェックをしてみましょう。
- 求人要項の内容との整合性を確認できているか
- 業務内容の記載が具体的で詳細になっているか
- 成果・貢献が数字などで定量的に表現できているか
- 職務経歴の記載量のバランスが取れているか
- 使用したスキルが明記されているか
- 職種変更の場合、汎用的スキルが記載されているか
- 文章表現は採用担当者に分かりやすいものとなっているか
- 全体の構成とレイアウトが読みやすくなっているか
採用担当者の視点を意識して職務経歴書を確認し、必要な改善を行いましょう。この作業によって、選考通過確率をより高めることができます。
職務経歴書の提出マナー
職務経歴書の提出に関するマナーについても確認しておきましょう。
(1)郵送の場合
郵送の場合は以下のポイントに注意しましょう。
- 封筒は角形2号か角形A4サイズのものを使用
- 宛名は会社名と部署名を正確に記載
- 余白に「職務経歴書在中」等の文字を入れる
- 差出人の住所・氏名・電話番号を記載
- 送付状を同封する
(2)メールの場合
次に、メールで送付する場合です。
- 件名は「職務経歴書送付」「氏名」等と分かりやすく
- 宛先を会社の担当部署に
- メール本文に応募職種等の情報を記載
- 添付ファイルにパスワードを設定し、別メールで送信
(3)面接時に持参する場合
最後に、面接当日に持参する場合のポイントです。
- 書類を封筒に入れ、余白に「職務経歴書在中」と記載
- 面接室で封筒から書類を出して手渡す
- もしくは、ビニールフォルダに入れて手渡す
- 書類の名前と会社名が書かれた名刺を添える
いずれの場合もマナーを守った提出を心がけましょう。
おわりに
ここまで、転職活動における職務経歴書の重要性と書き方のポイントを解説しました。採用担当者の視点を意識し、求人要項との整合性を取った記載内容にすることが大切です。職種に合わせた記載例やサンプルも参考に、魅力的な職務経歴書を作成しましょう。転職活動の成功確率が高まります。
コメント