製造業のやりがいはこの3つ！仕事の魅力や向き・不向きを紹介

「ものつくり」大国日本を支える「製造業」。製造業で働くひとは1044万人、なんと全産業の15.5%となります。(引用：独立行政法人労働政策研究・研修機構/産業別就業者数)

この記事では、サービス業と並び、働く選択肢として最も多い「製造業のやりがい」について解説したいと思います。

製造業は、文字通り物を「作る」業界であり、私たちが日常で使う多くのモノ、例えば食品から家電、自動車など、あらゆる製品を生産しています。今回の記事では、製造業の基本的な概要から、その魅力やキャリア形成におけるポイント、そして実際に製造業で働くことのやりがいや苦労点について詳しく解説していきます。

そもそも製造業とは？

そもそも「製造業」とは何を指すのでしょうか？

その実態は多岐にわたり、我々は日常生活のあらゆるシーンで、製造業を通して生まれた商品と接しています。

具体的には、食料品、飲料、木材・木製品、繊維、家具、パルプ・紙・紙加工品、印刷、タバコ、化学、石油製品、プラスチック製品、ゴム製品、窯業・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属、機械器具、電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具など

多種多様なカテゴリーが存在します。これらの分野は、広範にわたり、それぞれが私たちの生活に欠かせない要素を提供しています。

製造業は、単に物を生産するだけでなく、それぞれの分野で特有の専門知識や技術が必要とされるため、多様なキャリアパス(昇進等キャリアの選択肢)を提供しています。

これらのカテゴリーが製造業の一部です。それぞれの分野で仕事内容は異なりますが、今回は大きな枠で製造業全体に当てはまるお話ができればと思います。

製造業で働くひとはやりがいを感じていない？

製造業は、「安定している」や「夜勤等で稼げる」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか？ところが、反対に「製造業はやめとけ」という声も多数存在します。厚生労働省が発表している「令和2年雇用動向調査結果の概要」によると、2020年（令和2年）の製造業の離職率は9.4%です。他の産業と比べ低確率ではあるものの一定数離職する人がいるのが事実です。では一体どんな理由があるのでしょうか？

求人サイト「バイトル」を提供するディップが提供したデータだと、製造業で働く47.1%の人が「やりがい」を理由にやめたいと感じています。

製造業でやりがいがないと感じてしまう理由

ではなぜ、「製造業はやりがい」がないと感じてしまうのでしょうか？

一概に言えませんが、以下が理由の一部となります。

1. 単純作業が多い
   製造業における作業は、多くの場合が繰り返しの単純作業です。このため、新しい挑戦や変化が少なく、やりがいを感じにくいという声が上がります。
2. 残業が多い
   24時間体制で運営される工場も多く、残業が増えることが一般的です。これにより、体力的に辛いと感じる人もいます。
3. 私語が制限される
   製造業の現場では、安全を確保するために私語が制限されることが多いです。このため、コミュニケーションが取りにくいと感じる人もいます。
4. 生活リズムの乱れ
   交替勤務を行う工場では、夜勤明けなどの生活リズムの乱れが挙げられる理由としてあります。
5. 昇進や昇格が難しい
   製造業には年功序列が根付いている場所も多く、昇進や昇格が難しいと感じる人もいます。

これらの意見は、一部の人々の感じることであり、必ずしも全ての人に当てはまるわけではありません。製造業には多くの魅力ややりがいも存在しますが、一方でこれらの点を考慮することも大切です。

製造業のやりがいは3つ

製造業におけるやりがいは非常に多面的です。一見、単純作業の繰り返しな現場作業にも、個人のスキルやチーム力を高める要素が満ちています。達成感、専門スキルの向上、そして自分が作り出した製品が社会で使われることへの誇り。これらは製造業ならではのキャリアの魅力と言えるでしょう。この3つの要素について詳しく見ていきましょう。

スキルアップすることで達成感を得られる

例えば、同じ作業を継続して行うことで、新しい効率化のアイデアが浮かんだり、スキルが向上したりします。これが達成感を生む大きな要素となります。例として、ある作業が最初は10分かかっていたものが、工夫と努力を通して5分で可能となった時、その瞬間の喜びや達成感は非常に大きなものです。さらに、磨き上げたスキルを同僚や後輩に教えることで、チーム全体のスキルが向上します。それが新しい改善ポイントを見つけ出すきっかけとなり、個の成長がチームの力となり、更なるスキルアップのサイクルを生み出す源泉となります。個々の小さな工夫やスキルが集まることで、チーム全体としての大きな力となります。

専門的な知識・技術が身につく

製造業においては、特定の製品を生み出すために、専門的な知識や技術が必要とされます。多くの企業では、資格手当を設定し、「フォークリフト」や「危険物取扱者」などの資格取得を奨励しており、これらの技術を身につけることは、個人の市場価値を高めるだけでなく、将来的なキャリアアップにも寄与します。専門的な知識や技術を持つことで、リーダーや主任といった上位のポジションを目指すことができると同時に、自分自身のキャリアパスを豊かに展開することができるのです。

自分が携わった製品を店頭で見られる

製造業では、直接製品作りに携わるポジションがあり、部品製造や組み立てなど特定の工程を担当します。そして、その製品が店頭に並ぶと「自分が作ったものだ」という誇りを感じます。特に、多くの人に使われる製品に関与している時の達成感は格別で、それが次の仕事へのモチベーションにも繋がります。この一連の体験が、質の高い製品作りをサポートし、日々の作業に喜びと原動力を提供します。

製造業の魅力4つ

製造業の魅力は多数ありますが、その中でも製造業ならではの魅力を四つ紹介します。それは、未経験者でも挑戦しやすい環境、大手企業の下請けとして安定した待遇、プライベートが確保しやすい職場環境、そして人間関係のストレスが比較的少ない環境です。

未経験でも挑戦できる

製造業は、多くの企業が整備されたマニュアルや教育体制を持っているため、未経験者でも始めやすいことで知られています。特に、「未経験歓迎」を謳っている企業は多く、新しい人材を確実に育て、組織の発展に寄与しています。アルバイトからスタートし、その後正社員として登用されるルートも存在し、多様な形でキャリアをスタートさせることが可能です。

大手の下請けも多く待遇が安定している

製造業における大手企業の下請けとして働く企業は数多く、その多くが安定した業務量を持ち、従業員に安定した待遇を提供しています。これは、長期的な勤務を可能にし、安定したキャリアを築く上で非常に有益となります。大手企業との安定した取引関係は、ビジネスの安定性をもたらし、これが従業員の安定した労働環境や福利厚生にも繋がります。したがって、これらの企業は多くの働き手にとって魅力的な選択肢となります。

プライベートが確保しやすい

製造業界には、従業員のワークライフバランスを大切にする企業が多く存在します。週休二日制、土日休み、残業なしといった労働環境が整っており、働きやすさが特徴です。また、取得しやすい大型連休や、予定が立てやすいシフト制を採用している職場もあり、それにより従業員はプライベートの時間も大切にできます。これらの要素が、従業員にとって働き続けるモチベーションとなり、安定した生活を支える土台となります。

人間関係のストレスが少ない

製造業においては、多くの時間を自分の作業に集中して過ごすことが一般的です。このため、接客業と比較して人間関係でのストレスが軽減されると感じる方が多いのです。この分野では、チームワークも非常に大切にされていますが、基本的な報告や連絡のスキルがあれば、業務はスムーズに進行します。人間関係のストレスが少なく、自分のペースで作業ができる環境は、多くの人々が製造業を選ぶ大きな要因となっています。これにより、個々のスキルを高め、チームとしても高い成果を上げることが可能となります。

製造業に向いている人とは？

製造業で働く上で最も大切な要素の一つは、一貫して行われる作業に対して集中力を持ち続けられることです。向いている人は、単調とも感じられる作業を黙々と進める中で、その一つ一つに意義を見出し、達成感を感じることができるタイプの人物でしょう。製造業の現場では、コミュニケーションの機会は限られ、個人の作業が多くなります。従って、少ないコミュニケーションの中でもストレスを感じず、また、自身の仕事に集中して取り組むことができる人が適しています。また、製造業は体を使った作業が多いため、体力的な負荷がある業務でも楽しんで取り組むことができる体力を持っていることも不可欠です。このような特性を持った人物は、製造業でのキャリアを積み重ねる中で、多くの達成感と成長を感じることでしょう。

製造業で働くデメリットとは？大変なこと4つ

製造業にはいくつかのデメリットも存在します。1つ目は、季節によっては残業が多いことです。2つ目は、24時間稼働の工場では交代勤務。3つ目は、個人評価がされにくい。4つ目は、人と話す機会が少ないことです。これらの点は、人によってはキャリア選びにおいて重要なポイントとなります。

季節によっては残業が多い

飲料メーカーでは、夏の間、需要増加に伴い工場はフル稼働となり、残業が多く発生します。しかし、その分残業代が増え、期間限定の忙しさであれば、積極的に取り組むことで一時的な収入アップを享受できるチャンスともなります

24時間稼働の工場では交代勤務

一部の工場では24時間稼働しており、3交代制でのローテーションがあります。家族や友人との予定調整が難しい場合もありますが、スケジュールが予め決まっているため、計画的にプライベートも楽しむことができます。

個人評価がされにくい

多くの人と同じ作業を行う製造業では、個人の成果が見えづらい場合があります。しかし、リーダーや主任が個人の努力やスキルをきちんと評価し、それが報酬に反映されることもあります。

人と話す機会が少ない

多くの作業が個別に行われる製造業では、コミュニケーションの機会は限られています。しかし、休憩時間などを利用して、同僚との関わりを楽しむ時間も確保することができます。

製造業でやりがいを感じるためのコツ

製造業で働く上でやりがいを感じ、日々の業務に活かすためのコツをご紹介します。作業の単調さを乗り越え、自己成長と業務の質を高めるポイントを押さえて、働きがいのある日々を過ごしましょう。

資格を取得する

資格取得は、スキルの向上と同時にキャリアの強化にも繋がります。企業内の資格取得制度を利用し、スキルアップを図ることで、自分自身の市場価値を高め、給与アップや昇進にも繋がる可能性があります。

目標をもつ

作業効率の向上やミスの減少など、具体的な目標を持つことで、毎日の業務にやりがいと向上心を持って取り組むことができます。小さな成功体験は、モチベーションアップに繋がります。

仲間を作る

仕事のやりがいは、仲間とのコミュニケーションからも生まれます。共通の目標に向かって協力し合うことで、チームワークが生まれ、個人としても更なる活力を得ることができます。

まとめ

製造業は多様な職種とスキルを持つ個々の人が共同して、製品を生み出す場です。未経験からでも積極的にキャリアを築くことができ、多くの場合、専門的な資格やスキルが身につけられます。

製造業の一つ一つのプロセスは、手間と時間を要し、時には単純作業が多く含まれます。しかし、その一つ一つの作業が製品となり、社会に貢献する瞬間に、働いている自分自身が社会と繋がっていると感じることができます。作業の単調さを乗り越えるためには、具体的な目標設定やスキルアップ、仲間とのコミュニケーションが大切です。コツコツと作業をこなすのが得意な人、ものづくりが好きな人にとって、製造業はキャリアアップの場として、また、自己実現の場として非常に適していると言えるでしょう。