日本は今、労働力人口の減少やテクノロジーの進化などにより、大きな社会変化の只中にあります。この変化の波は、私たちの働き方そのものをも変えようとしています。
本記事では、厚生労働省が提唱する「働き方の未来2035」に焦点を当て、これから必要となる新しい働き方について考えていきたいと思います。はじめに「働き方の未来2035」が提案する内容を整理します。次に現在の日本の働き方の特徴と新しいトレンドを紹介。さらにこれから取り組むべきアクションについて5つの提案をします。
多くのデータや具体例を織り交ぜながら、皆さんと一緒に未来の働き方を考えていけたらと思います。
今回は10年間の採用広告制作という立場で様々な企業の働き方に触れてきの経験を持つ私が、未来の働き方についての考察をお伝えします。特に、最近注目されている「働き方の未来2035」に焦点を当てて、これからの転職者やキャリアを考える皆さんに役立つ情報をお届けします。
働き方の未来2035とは?
2016年に厚生労働省の有識者懇談会が発表した「働き方の未来2035」は、少子高齢化や人口減少、技術革新など、日本が直面する課題を踏まえ、2035年に向けた働き方のあり方を提言した報告書です。この報告書では、以下の5つの視点から働き方の未来像が描かれています。
人口動態の変化
日本は2035年には、生産年齢人口が2010年比で2000万人以上も減少すると予測されています。
この労働力人口の減少を補うため、女性や高齢者の就業促進とともに、生産性の向上が必要となります。柔軟な働き方を可能にする制度設計が求められます。
技術革新の影響
AIやロボットなどの技術革新が進展することで、多くの作業が自動化され、人と機械との役割分担が進むでしょう。
技術を上手に取り入れながら、人の創造性を発揮できる新しい働き方が必要となります。
地域間の格差
若年層の東京圏集中と地方の過疎化が進み、地域によって働き方に差が生じています。
地域の実情に合った働き方を設計し、地方創生につなげることが求められます。
女性、高齢者、障害者など、多様な背景を持つ人々が活躍できる環境の構築が求められています。これにより、多様性の中から新しい価値やアイデアが生まれることが期待されています。
多様性の尊重
性別や年齢、障害の有無などにかかわらず、一人ひとりの希望に応じた働き方を選択できる社会を実現する必要があります。
新しい労働政策の必要性
以上の変化に対応するには、政府による労働制度改革も重要となります。
柔軟な勤務制度の導入や、転職支援、生涯学習のための制度設計が求められます。
この報告書は、単に過去の延長で未来を考えるのではなく、社会の変化に対応した新しい働き方を提案した画期的な内容でした。
2023年の日本の働き方の特徴
働き方の未来2035年が発表された2016年から7年がたった2023年現在はどうなっているのでしょうか?
報告書が発表されてから7年の歳月が経過し、日本の働き方はどのように変化しているのでしょうか。以下、3つのトレンドを紹介します。
1. コロナ禍とテレワークの普及
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレワークの導入が急速に進みました。2022年時点で、テレワーク制度を導入済みの企業は83.8%にのぼります(出典:厚生労働省「雇用動向調査」)。
感染収束後も、テレワークは継続する傾向にあり、働き方の変化が加速しました。
キャリア観の変化
最近の調査では、ビジネスパーソンの約7割が「終身雇用」を希望しておらず、自身のキャリアビジョンに基づいた転職を選択する人が増えています(出典:日本生産性本部調査)。
会社都合より自分の価値観を重視する傾向が強まっています。
脱期待型就職の広がり
学生の就職に対する意識も変化しています。ミレニアル世代を中心に、会社からの一方的な期待に応えるのではなく、学生自身の就業条件が重視される「脱期待型就職」が広がっています(出典:リクルートワークス研究所調査)。
自分らしい働き方を求める姿勢が鮮明になっています。
これらはいずれも、個人の意思がより尊重される方向での変化です。
今から取り組むべき5つのアクション
それでは、この変化の時代に対応するため、今からどのようなアクションを取るべきでしょうか。以下5点を提案します。
業界内外のネットワーク構築
自分の働き方を選択するには、求人情報だけでなく、自分のネットワークから得られる情報が重要です。
業界内の人脈はもちろん、他業種との交流も大切です。SNSを活用する等、ネットワークを意識的に広げる努力をしましょう。
メンタルヘルスの維持・向上
テレワークが増える中、孤立感に注意が必要です。
積極的にオンライン交流の機会をつくる、運動を心がける等、メンタルヘルスの維持に努めることが重要です。
自己研鑽とデータスキルの習得
業界の求める人材像は刻々と変化します。トレンドを把握し、必要なスキルを継続的に学ぶ習慣をつけましょう。
特に、DXの進展でデータ分析能力が必須となっています。データスキルの習得を心がけましょう。
地域社会への参画
都市と地方の格差が懸念される中、自分が住む地域社会への関与が大切です。
町内会活動をはじめ、地域課題の解決に貢献することで、新たな働き方のヒントも得られるでしょう。
ダイバーシティの推進
性別や年齢、障害のある人とない人が共生する職場づくりが重要視されています。
職場や地域で、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する意識を持ちましょう。
以上のようなアクションを通じ、これからの時代に適応した働き方を探求していきましょう。
まとめ
日本の働き方は、人口動態や技術の変化とともに、これまでになく大きな転換期を迎えています。
「働き方の未来2035」は、その変化の方向性を示す貴重な指針となります。
変化の波に対応するには、私たち一人ひとりが能動的に行動を起こすことが必要です。
本記事でご紹介したアクションプランを参考に、皆さんなりの未来の働き方を描いてみてはいかがでしょうか。
それでは、未来に向かって前進していきましょう!
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