【労務コンサルタントが解説】給与に関する保険と税金について

税金と保険の仕組みを解説するイメージ

会社に務めている方であれば誰でも見たことがある給料明細。
引かれている税金がどういうものなのか、どうやって金額が決まっているのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか?

収入は増えたけど、思ったほど手取りの金額は上がっていない、、


そんな疑問をもつあなたに、今回は労務コンサルタントの方に給与に関わる保険の種類と税額の決まり方に関して解説していただきました。

この記事を書いた人

小島幸弘:社労士事務所で8年以上、労務コンサルタントとして勤務。

目次

給与に関する保険と税金の種類

源泉徴収票の画像

給与に関する保険と税金は主に以下の5つです。

給与にかんする保険と税金

・健康保険

・厚生年金保険

・介護保険

・雇用保険

・所得税

※住民税は勤務先の徴収方法により異なるためここでは省きます。

健康保険

病気やけが、またはそれによる休業、出産や死亡といった事態を迎えると、思わぬ出費が必要となり、ときには収入も途絶えて、生活が不安定になります。
そこで、こうした事態に備えるため、日頃から加入者が保険料を支払い、それを財源に必要なときに必要な人が保険給付を受けられるしくみとして、公的な医療保険制度を設けています。
健康保険はこうした公的な医療保険制度のひとつです。
身近な例として、保険証で医療費を3割の負担で受けることが出来る、病気などを理由に働けなくなった際に手当がもらえる(傷病手当金)、産休中に手当がもらえるなどがあります。

健康保険に加入していないと病気や怪我のときに全て自己負担となるので、とても大変です。

厚生年金保険

厚生年金は、国民年金と並んで日本の社会保障制度の中で最も大きな公的年金制度のひとつです。
対象となる企業の会社員が加入し、労働者と雇用主が折半で年金保険料を負担することによって、労働者が65歳以上になったときに、年金を受け取ることができます。
国民年金は日本に住んでいる20歳から60歳未満までの全ての人が加入する公的年金であるのに対して、厚生年金は、厚生年金保険の適用を受ける事業所に勤務する70歳未満の会社員・公務員などが対象です。
日本の年金制度は「2階建て構造」とされており、厚生年金に加入している人は同時に国民年金にも加入していることから、老後に受け取れる給付が手厚くなります。

厚生年金は労働者と雇用者が折半で負担。実は、雇用者が払っている金額と同じ額を企業が負担しているんです。

介護保険

65歳以上の方は、市区町村(保険者)が実施する要介護認定において介護が必要と認定された場合、いつでもサービスを受けることができます。
これを介護保険といい、40歳になると、被保険者として介護保険に加入することになります。
また65歳になっていない40歳から64歳までの人でも、介護保険の対象となる特定疾病により介護が必要と認定された場合は、介護サービスを受けることができます。
高齢化が進む中で家族間での介護を行うことが難しくなってきたこと、介護を理由をとした離職率があがってきたことなどを受け、改善を目的とした制度です。

介護保険が徴収されるのは40際を超えてからになるので、若い方にはまだ馴染みがないかもしれません。

雇用保険

雇用保険は、雇用に関するさまざまな支援を行う公的保険制度です。
失業や休業などをしたときには給付を行い、労働者の生活を安定させることを主な目的としています。
また、雇用の機会を増やしたり、労働者の能力開発や就職を促したりすることも雇用保険の役割です。
現在は働けていても、失業して収入が途絶えてしまう、または育児や介護による休業で収入が減ってしまうというリスクは誰にでもあります。
身近な例としては会社を退職して際に給付がもらえたり、育児休業時の給付などがあります。

経営者や個人事業主は基本、雇用保険に入れません。独立を検討するときは雇用保険の制度をしっかり把握してからが良いでしょう!

所得税

所得税とは、個人の稼ぎである所得に対してかかってくる税金をいいます(毎年1月1日から12月31日の1年間の所得が基準)。
給与所得のある会社員に限らず、事業所得のあるフリーランスなどの個人事業主、株式などの売買で譲渡所得のある個人など、所得があるすべての個人を対象とした税金です。
会社員であれば所得税は毎月の給与から引かれており、年末調整で精算しています。

日本は累進課税制度のため、稼げば稼いだ分だけ所得税が増えます。高年収になってくるとこの所得税がネックで思ったより手取りが少ないと感じることがあります。

保険と税金の決まり方

給料明細の前に電卓があり、計算している様子

ではここからは前述した保険の税額がどのように決まるのかをご紹介していきます。

健康保険料

健康保険、厚生年金保険は一般的に「社会保険」として一括りで呼ばれます。
社会保険は給与の金額によって国が毎年定める税額等級表にあてはめて決めています
この給与には基本給以外にも、通勤手当や住宅手当、家族手当や役職手当などが含まれます。
頑張って昇給したり役職手当がついた、お子様が生まれて家族手当がついたなど給与の金額が増えても、その分健康保険料も増えているのです。
ただしずっと増え続けるわけではありません。
健康保険料には上限があります。
1,355,000円以上は保険料が変わらないのでこれ以上給与があがる場合、健康保険料の上昇はありません。
とはいえ、毎月1,355,000円以上の給与はかなりハードルが高いかと思いますので、上限の恩恵を受けれる人は少数派と言えるでしょう。

厚生年金保険料

健康保険の部分でお伝えしたとおり、厚生年金保険も社会保険と呼ばれ、保険料の決まり方は同じです。
ただし健康保険料と厚生年金保険料では給与から天引きされる割合に差があります。
健康保険料は給与額の5%なのに対し、厚生年金保険料は9.15%なので、負担感としては厚生年金保険料の方が大きいです。
また保険料の上限金額にも差があります。
健康保険では1,355,500円までは保険料が上がるのに対し、厚生年金保険では665,000円以上は保険料が変わりません

毎年4,5,6月の月額報酬をもとに等級を決め、社会保険料と厚生年金保険料は決まります。等級は約2万円毎に幅が設けられているので、把握していないと損してしまう場合も!等級表はこちらから

介護保険料

介護保険は健康保険に加入している40歳以上の被保険者から徴収されます。
金額の決まり方は健康保険、厚生年金保険と同じです。
保険料率は0.91%とさきほどの2つの保険料と比べると負担感は低くなっております。

雇用保険料

雇用保険には税額表のようなものはなく、毎月の給与に国が決めた保険料率をかけて決まります。
また業種によって保険料率に差が出るのが特徴です。
農林水産・清酒製造の事業が給与額0.7%、建設の事業が0.7%、一般の事業が0.6%です。
農林水産や清酒製造の事業、建設の事業はその事業形態から失業保険を受給する可能性が高いため、保険料も高く設定されています。

所得税

所得税は税額表で定められており、毎月の給与額から社会保険料を引いた金額を表に当てはめて決定されます。
また収入があがるたびに税率があがる仕組みになっています。
16歳以上の扶養がいる場合には扶養控除が受けられるため税額を下げることが出来ます

その他の給与に関する豆知識

上述してきた税金以外にも給与に影響のある項目も紹介しておきます。

年末調整

毎月の給与から控除される所得税は税額表に合わせて徴収していますが、あくまで概算で計算されており、正しい税額ではありません。
その年の所得額が確定した時点で再計算し、正しい税額で納税する必要があります。
その際、算出された正しい金額とこれまで概算で徴収した金額を比較し、過不足分を従業員に還付または追加徴収することが、年末調整の役割となります。
一般的には12月もしくは翌1月の給与で還付、追加徴収のどちらかが反映されます。

住民税

前年の収入をもとに計算されているため社会人1年目などは徴収されないケースがほとんどです。
1月から12月の1年間の所得に応じて、翌年の6月から納税が開始されるため給与からの徴収もそのタイミングから開始、または税額の変更が行われます。

税額が変わるタイミング

毎年3月から社会保険料率の見直しが行われるため、4月の給与から天引きされている健康保険料や介護保険料は税額が変わる可能性があります。
住民税の税額は6月に徴収する税額から変更となるため、前年の収入に比例して増減することになります。
また9月の社会保険料はその年の4月、5月、6月の給与に合わせて変更されるため、10月に支払う給与の健康保険料、介護保険料、厚生年金保険も変わる可能性があります。

保険の種類によって変更するタイミングが変わります。おおよその目安で把握しておくと良いかと思います。

まとめ

保険や税金は制度もややこしく内容を覚えるのは難しいかと思いますが、皆さんの給与に直接関係してくる重要な内容です。どのタイミングで変更されるのか、などざっくりした知識からでもいいので明細の内容を理解出来るようになっておきましょう。

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