お仕事を探す際に、「タウンワーク」や「マイナビ」といった求人媒体を利用することがあると思います。
企業が求人媒体に求人を掲載するには、自分で掲載作業を進めることもありますが、営業担当を介して掲載していることがほとんどです。
「求人広告営業の仕事に興味があるけど、どんなことをしているの?」
「どんな人がこの仕事に向いているの?」
この記事では、10年以上広告代理店での勤務のある筆者が、求人広告営業のお仕事について解説していきます。
求人広告の営業とは
求人広告の営業とは、優秀な人材を採用するための広告戦略やプランを提案し、その広告をクライアント(企業や雇用主)に販売する仕事です。
求人広告の営業は、クライアントの採用ニーズや要望を理解し、それに適した広告メディアや戦略を提案します。
以下は、求人広告の営業の主な役割や活動内容です。
クライアントとのコミュニケーション
営業担当者は、クライアントと定期的にコミュニケーションを取りながら、その採用ニーズや要望を理解します。求人ポジションや応募資格、採用の緊急度などを把握することが重要です。
広告戦略の提案
クライアントの求人ニーズに基づいて、効果的な広告戦略を提案します。
どのメディアで広告を出稿するか、広告のデザインやコピーの内容、掲載期間などを検討し、最適なプランを提示します。
商品やサービスの特長や利点を分かりやすく伝える提案書や見積書などを作成する必要もあります。
メディアプランニング
求人広告をどの媒体に出稿するかを決定します。
求人媒体、ウェブサイト、SNSなどの選定を行い、ターゲット層に合った広告展開を計画します。
価格交渉
提案内容や広告プランに基づいて、クライアントと価格や契約条件について交渉します。
クライアントの予算や要望を考慮しながら、合意に達するための努力を行います。
広告制作の調整
クライアントが求人広告のデザインやコピーを提供しない場合、営業担当者は制作チームと連携して広告の制作を進めます。
クライアントの希望や要求を伝え、広告をクオリティの高いものに仕上げます。
広告の掲載と運用
広告が掲載される際のスケジュールや運用を管理します。
広告の効果を最大化するために、掲載タイミングや広告の配置などに注意を払います。
クライアントとの関係構築
長期的なパートナーシップを築くために、クライアントとの信頼関係を構築します。
- 掲載した求人広告のデータの分析
- 求人市場の調査
上記をもとに提案や助言を行いながら、採用ニーズをサポートします。
求人広告の営業担当者は、クライアントの人材採用に貢献するために、広告戦略の提案や実施を行う重要な役割を果たします。
求人広告営業のここが大変
求人広告の営業は、ただ商品を売って終わりではありません。
また手元に残る商品を売るということではないので、クライアントとの信頼関係が何よりも重要となります。
以下に、私が実際に勤務していて大変だと感じたことを紹介します。
採用に繋がらない
求人広告を出したからといって、必ずしも人を採用できるとは限りません。
採用した人がすぐに辞めてしまうということもあります。
掲載地域や給与・待遇など簡単に変更できない要素で、採用に繋がらないという場合もあります。
求人広告は決して安いものではないため、クライアント側は費用対効果を低く感じることがほとんどです。
結果「求人出しても来ない」となり、今後の取引が終了してしまうこともありました。
取引を切られたくないといって、嘘の情報や事実と異なった内容を求人内に記載することは、ブラック求人に成りかねません。
仕事を探している求職者へ迷惑がかかりますし、クライアントのためにもなりません。
クライアントと良好な関係を続けるためには、ヒアリングを怠らないことが大切だと考えます。
クライアント企業独自の魅力(働きやすさ・職場環境など)や経営層の想いなどもヒアリングしましょう。
→結果、クライアントにマッチングした人材が採用できることがあります。
応募を集めるために、おとり広告のような内容や虚偽の内容を掲載することは、法律に触れる場合もあります。
ノルマや目標
求人広告はクライアントのニーズにより売上が左右することが多いです。
自分が担当したクライアント企業の人材が充足していることは、とても喜ばしいことです。
本来、クライアントの悩みを解決することが仕事なのに、ノルマや目標のために営業活動をしていかなければならないという点で矛盾が生じることがありました。
また、災害や社会情勢により景気が低迷すると、必然的に求人広告のニーズは減少するので、どう営業をすればいいのか悩むこともありました。
新規クライアントの獲得
新規クライアントへのアプローチは、主に電話・メール・訪問の3つです。
電話営業は、受付の時点で断られることや担当者が不在のことが多くあります。
担当者に繋がるまで何度も電話を掛けるも、着信拒否をされるということもありました。
メール営業は、返信が来ないことが多いです。
訪問営業は、電話で事前にアポイントが取れなかったときは、飛び込みで訪問していました。
訪問しても担当者がいないということは多々ありましたし、アポイントの約束がない時点で建物内に入れないということもありました。
既存のクライアントから新規クライアントを紹介されるということもありましたが、クライアントと信頼関係が築けていない新人の時点では、紹介を貰うことは難しいと考えていいでしょう。
既存クライアントの管理
既存クライアントとも、良好な関係を維持しなければなりません。
- A社は毎年夏頃に短期バイトが必要になる
- 飲食店は卒業と合わせて3月に学生が一気に辞めてしまう
- B社に合う人材は◯◯な人 など…
何度かやりとりをしていきながら、人材募集をする際の傾向を把握することが大切です。
また、仕事の話だけでなく世間話をしたり、電話だけでなく訪問をして顔を合わせることで、クライアントとの信頼関係も構築されていくと考えます。
スケジュール・タスク管理
クライアントが増えれば増えるほど、スケジュールの管理が難しくなります。
制作担当が不在の場合は、自分で広告作成を行うこともありました。
営業から戻って広告作成を行なっていたので、必然的にタスクが増えて残業が当たり前となりました。
タスクが増えると抜け漏れが多くなり、内勤スタッフに注意されることもありました。
媒体のルールや法律
求人媒体を扱っているので、ルールや法律を覚える必要がありました。
以下に、一例を紹介します。
《媒体毎のルール》
媒体に掲載できない企業がある
営業活動をしてはいけない企業がある
著作権の関係で表記できない文言がある
《法律》
労働基準法
男女雇用機会均等法
障害者差別解消法
消費者契約法
公正競争規約
個人情報保護法
トラブルを防ぐために、広告を販売する側が正しい知識を学んでおくことが大切です。
向いている人・向いていない人
求人広告に関わらず営業職に向いている人は、コミュニケーションスキル、対人関係能力、交渉力、クリエイティブな思考、業界知識などを持つ人が適しています。
以下では、私が10年以上働いて感じた求人広告の営業に向いている人・そうでない人を挙げます。
向いている人
向いていない人
正直、求人広告の営業はきついことが多いです。
すぐに芽が出る営業もいれば、中々結果を出せずに辞めてしまう営業も見てきました。
売上を上げれば稼げますが、それだけを目的としていると後に辛くなるでしょう。
求人市場は経済状況によってトレンドも変わります。
様々な職種・業種の求人を扱うので、情報を収集することも大切です。
また、求人広告の営業は、企業の人事担当者や経営層・社長と関わることが多くあります。
人との繋がりに嬉しさや楽しさを感じる方は、やりがいを持って働けると思います。
まとめ
適切なターゲット層へのリーチや魅力的な広告メッセージの提供によって、優秀な人材を獲得し、組織の成長や成功に貢献することが求人広告の主な目的です。
クライアントの採用成功を支援するために、広告業界の知識や提案力、ヒアリング力が求められます。
また、求人広告を作成する側は、ブラック求人を生み出してしまう可能性もあります。
法律と規制を遵守し、公平性と適正な情報提供が保たれるように注意する必要があります。
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