SE(システムエンジニア)には、システム開発の上流工程を担当するエンジニアというイメージがありますが、実際には多岐にわたる職種が存在します。業務内容や必要なスキルも職種によって大きく異なります。ここでは、代表的なSEの職種とその特徴を整理します。
社内SEの5つの主な仕事内容
社内SE(社内システムエンジニア)の主な仕事内容は以下の5つです。
システムの予算作成と管理
自社のシステム開発や運用のための予算作成を担当。開発費、ライセンス料、保守料等を試算し、適切な予算水準を導き出す。範囲内で管理する能力も重要。
システム企画や導入
業務改善やコスト削減につながる新システム企画を立案。導入にあたっては、要件定義、RFP作成、ベンダー選定を進める。
システム開発やベンダーとの調整
自社開発の場合は設計から開発、テストを担当。外注する場合は要件を明確化し発注。進捗管理や品質管理を行う。
システム運用や保守
24時間365日の安定稼働のため、定期的なメンテナンスを実施。障害発生時には原因究明と復旧を迅速に行う。
社内のお問い合わせ対応
パソコンやシステムの操作方法に関する社内の問い合わせに対応。迅速かつ丁寧な対応を心がける。
社内SEに求められるスキルと必要な資格
社内SEには以下のようなスキルと資格が求められます。
- 予算管理スキル 開発費や運用費の積算と管理ができる財務知識が必要。
- プロジェクト管理スキル
大規模プロジェクトを計画的に管理する手腕が求められる。 - プログラミングスキル Java、C、C++等の言語スキルがあると開発業務に有利。
- ユーザビリティ設計スキル 使いやすいUI/UXの設計・提案ができることが重要。
- 顧客折衝力 ベンダーとの折衝に強い交渉力が必要となる。
- 基本情報技術者試験 ITエンジニアの登竜門的資格。
- 応用情報技術者試験 上位資格。基本情報技術者試験の合格が条件。
- ITパスポート試験 ITとビジネスの幅広い知識が問われる。
- 情報処理安全確保支援士 情報セキュリティに関する試験。
幅広い業務を担当するため、技術力に加え、コミュニケーション能力が欠かせません。
社内SEのやりがいと充実感
社内SEには以下のようなやりがいがあります。
- 自社のシステムを一貫して携われる 要件定義から運用まで全プロセスに携われる貴重な経験ができる。
- 経営に必要なシステム構築ができる 経営戦略を支える重要システムの開発は大きなやりがいにつながる。
- 社内から直接感謝の言葉をもらえる 社内ユーザーとの距離が近い分、支援への感謝の言葉を受けやすい。
- 自社への貢献を実感しやすい 自社のIT支援が業務効率化につながっている実感が得られる。
自社への貢献感と充実感が大きな魅力です。
社内SEのデメリットや退屈さを感じるケース
一方で以下のような課題もあり、向いていない人もいます。
- 開発より保守業務の割合が高い 新規開発よりリリース後の保守に時間が割かれることが多い。
- 小さな問い合わせ対応に追われる パソコンの基本操作やトラブルへの対応に時間を取られることも。
- 開発意欲が充足しにくい 新技術を使った開発プロジェクトが限られてくる可能性も。
- 自社や上司の方針に縛られる 自社の方針に沿った開発を求められ、自主性が発揮しにくい。
開発志向の強い人には物足りなさを感じることも。
社内SEに向いている人/向いていない人
【向いている人】
- 自社への貢献意識が強い人
- 保守業務をメインにしてもやりがいを感じる人
- ユーザー対応を好む人
- 顧客折衝力のある人
【向いていない人】
- 新技術を使った開発に強い意欲がある人
- 自主性が高く自由な働き方を好む人
- 社内の人間関係に疲れやすい人
- レポート作成が苦手な人
社内SEの平均年収と収入の変動要因
社内SEの平均年収は以下の通りです(マイナビ調べ)。
30代:505万円
40代:512万円
【収入増加の要因】
- 業界や企業規模
- 担当する業務と責任の範囲
- TECHスキルと専門性
- 保有資格とスキル証明
- コミュニケーション能力
自社の業務内容と要件により大きな幅があります。
社内SEのキャリアパスとステップアップ
社内SEのキャリアパスとしては以下が考えられます。
- システム開発リーダー チーム管理と開発指導ができる能力が求められる。
- システムアーキテクト 設計能力と全体最適化スキルが必要。
- 情報システム部長 技術とチームマネジメントの双方のリーダーが求められる。
- CIO(最高情報責任者) IT戦略構築と実行が期待される重責。
専門性を深めたり、管理職を目指す道も開けています。
社内SEへの転職方法と留意点
社内SEへの転職では以下の点に注意しましょう。
- 自社の開発体制と業務をしっかり確認する
- 保守業務の経験とスキルを積極的に訴える
- ユーザー対応の経験をアピールする
- 異業種も視野に入れて求人を調べる
自社の開発スタイルと求める人材に合致するか確認が重要です。
まとめ
社内SEは自社への貢献感が大きな魅力ですが、開発より保守がメインのため、向いていない人もいます。自身の適性を見極め、魅力を最大限に活かせるか確認しましょう。
コメント