20代で2回目の転職を考えている人は少なくありません。しかし、転職を重ねることで「転職が多すぎる」「浮気性がある」などとマイナスイメージを持たれるのではないかと不安に思う人もいるでしょう。
では、2回目の転職は本当にマイナスに捉えられるのでしょうか? 転職回数が増えれば増えるほど就職が難しくなるのは事実ですが、適切な対策を取れば前向きに評価される可能性も十分にあります。
この記事では、20代で2回目の転職を成功させるためのポイントを7つにまとめました。2回目の転職がプラスに働くための知識と対策を得て、より良いキャリアチェンジを実現しましょう。
2回目の転職がマイナスに捉えられる背景
多くの企業では、転職経験が1~2回以内であれば「敬遠しない」と考えられている一方、3回目以降の転職経験者に対してはある程度の「入社後の定着性」を懸念する傾向にあります。
ではなぜ、2回目の転職もマイナスイメージを持たれてしまうのでしょうか。その背景には以下のような理由が考えられます。
(1)「仕事に対する姿勢が軽いのでは」と疑われる
転職を繰り返すと、「仕事を安定させることにそれほどコミットしない人物像」と見られる可能性があります。「仕事より私生活を優先している」「少しの不満で辞めてしまう」などの印象を与えかねません。
(2) スキルが身についていないと考えられる
入社から退職までの期間が短いと、十分なスキルが蓄積されていないとみなされることも。仕事を長く続けることのメリットが理解されていないように見えるでしょう。
(3) コミュニケーション能力に不安があると思われる
頻繁に転職を繰り返す人は、人間関係の構築が下手なのではないかと疑われることも。対人スキルのなさが転職の原因ではないかとみなされかねません。
(4) 自己PRがうまくできない可能性がある
履歴書上では転職理由が一貫性なく見えるため、面接でもセルフアピールが下手だと決めつけられることもあるでしょう。コミュニケーション力に不安がある、との先入観からくる評価の偏りでもあります。
このように、2回目の転職経験が必ずしもプラスに働くとは限らない背景があるため、適切な対策が必要不可欠です。次節では、2回目の転職で気をつけたいポイントを整理します。
2回目の転職で気をつけたいポイント
2回目の転職では、以下の点に特に注意を払う必要があります。
(1) 転職理由の一貫性
1回目と2回目の転職理由に一貫性がないと、「明確な目的意識がない」とみなされます。例えば1回目が「スキルアップのため」、2回目が「会社の雰囲気が合わなかった」といった具合に、転職の目的がぶれているように見えるとマイナス評価につながります。
1回目と2回目の転職理由には、例えば「成長できる仕事を求めて」「自分の強みを発揮したい」といった共通の目的意識を明示できることが大切です。
(2) 2社目の在職期間
2社目での在職期間が1年未満と短い場合、「仕事を続けられない人物」と判断される可能性があります。2社目で少しでも長く勤めることが望ましいでしょう。
もちろん、自分の都合でなく会社都合の退職であれば話は異なります。その場合は在職期間が短くても、退職理由を明確に説明できるようにしておきましょう。
(3) 面接での経験のアピール
面接では、各社での業務内容だけでなく、そこから得た経験とスキルをどのように次の仕事に活かしていくのかを説得力を持って語る必要があります。
単に「○○の仕事をしていました」と言うだけでなく、その業務を通じて培ったコミュニケーション力や顧客対応力をどう応募企業で生かすのかを具体的にイメージして伝えることができるようにしておきましょう。
(4) 目的意識の明確さ
履歴書や面接を通じて、転職が「無計画」ではなく、自分なりのキャリア形成の目的意識に基づいていることを示す必要があります。
例えば「営業の仕事を通じて業界動向を学びたい」「マーケティングのスキルを磨きたい」など、転職の目的として一貫したキャリアビジョンが見えることが大切です。
このように、2回目の転職では企業に自分を正しく理解してもらうための努力が欠かせません。次では、転職歴をプラスにアピールするための具体策を見ていきます。
転職歴をプラスに活かすための対策
2回の転職経験がマイナス材料とならないためには、職務経歴書の作成と面接でのアピールがカギを握ります。
(1) 職務経歴書の作成ポイント
職務経歴書では、各社での業務内容とともに、そこから得られた学びやスキルをできるだけ具体的に記載します。単なる業務の羅列にならないよう、自分の成長のストーリーを意識しましょう。
また、転職の背景として、例えば1社目が業界勉強で2社目がスキル習得といった目的の変遷を示唆する流れはプラスに働くでしょう。
(2) 面接でのアピール方法
面接では、自分の強みを生かせる仕事に就きたいという前向きな目的意識をアピールしつつ、これまでの転職経験がその思いを強める上で重要な役割を果たしたことを伝えます。
例えば、1社目では基礎スキルを学び、2社目では管理職を経験することでリーダーシップを磨いた。これらの経験を通じて得た人脈とノウハウは応募企業でも強みとなる、といった具合です。
ネガティブな響きを払拭するだけでなく、むしろ転職歴を自分の強みに変えるアピールが重要です。面接官の理解を得ることを念頭に適切なストーリーを構築しましょう。
2回目の転職がプラスに働いた成功例
失敗談よりも成功例からの学びの方が大きいものです。参考になる他者の経験を知ることで、自分もプラス思考で2回目の転職に望むことができます。
ここでは、2回の転職がむしろキャリアアップの導火線となった実例を紹介します。
【大手生保職員から人材コンサルタントへの転職】
Aさんは大手生命保険会社に新卒で就職し、主に営業職として働きました。しかし業界の先行きに不安を感じ、IT関連のスキルを身につけるために1回目の転職。Web制作会社でマーケティングに従事しました。
その後、コンサルティング会社に再度転職。保険業界で培ったコミュニケーション能力とWeb業界でのマーケティング経験が評価され、人材コンサルタントとして働くようになりました。生保時代の顧客対応スキルとマーケティング手法を生かせる仕事に就けたことで、2回の転職がキャリア形成の意味でもプラスに作用しました。
【SEからWebディレクターへの転身】
Bさんは大学卒業後、SIerにSEとして入社しましたが、開発業務には馴染めず1年で退職。Web制作会社に転職してデザイナーになりました。
しかし、よりビジネスサイドの仕事がしたいと考え、Webコンサルティング会社に再転職。SE時代に培った技術力を生かしつつ、Webマーケティングの知見も得ることができました。その後、Webディレクターとして活躍する道が開け、2回の転職が自己実現に役立ちました。
このように、目的を持って臨む転職はむしろ可能性を広げるチャンスとなります。ポイントは前向きな視点を持ち続けること。自分の強みを生かすキャリアを追求しましょう。
中長期的なキャリア設計が重要
転職を成功させるうえで、中長期的なキャリア形成のビジョンを明確に持つことは欠かせません。
例えば、「こういった職種を経て、5年後にはこの仕事に就きたい」という志向性がなければ、転職はただの「場当たり的行動」としか映りません。目先のことだけでなく、自分がどうありたいかのビジョンを常に思い描くことが大切です。
また、そうしたキャリアプランを面接時などに明快に語れることも重要。「なぜ今回この企業に応募したのか」について、単なる会社の名前や業界だけでなく、自分のキャリア形成との関連性を含めて論理的に説明できる必要があります。
中長期のキャリアデザインを明確に持ち、その実現に向けた一手間としての転職であることを示せるかが、2回目の転職を成功に導く最大のカギとなるのです。
転職経験を積極的に活かせる企業を選ぶ
業界や企業によっては、転職経験への寛容度が異なります。例えばIT業界は転職自体が一般的で、むしろ経験の多さがプラス要因となることも珍しくありません。
他方、伝統的な大手メーカーなどは転職が少ないのが前提とされているため、2回目の転職経験がマイナス材料となる可能性も否定できません。
したがって、転職経験を理解してくれる企業や業界を選ぶことも重要な戦略となります。自分の経歴を最大限に活かせる会社に応募することで、面接選考を有利に進めることができるでしょう。
企業研究は転職活動における基本中の基本。自分にマッチした企業文化を見極める努力が欠かせません。
2回目の転職で注意したいポイントまとめ
最後に、2回目の転職で注意すべきポイントをまとめておきます。
- 1回目と2回目の転職理由の一貫性を明確にする
- 2社目の在職期間は1年以上確保する
- 面接では各社で得たスキルと成果を具体的にアピールする
- 中長期のキャリアプランを描き、その一環として今回の転職を位置づける
- 転職経験を活かせる企業や業界を選ぶ
- 自己PR力を高め、ポジティブなストーリーを語れるようにしておく
このように、2回目の転職がマイナス要因とならないためには、履歴書と面接でのアピールが非常に重要です。
自己 PR力を高めることはもちろん、一貫したキャリアストーリーを構築できるよう自分の経歴を振り返り、そこから学んだことを整理しておきましょう。
また面接対策として、以下のような設問に対する回答を事前に準備しておくと良いでしょう。
- 1回目と2回目の転職理由を教えてください
- 2社目での業務内容と成果について説明してください
- 転職を繰り返すことで得た学びやスキルにはどのようなものがありましたか?
- それらの経験を当社でどのように活かしたいと考えていますか?
- 5年後のキャリアプランを教えてください
上手く自分の経歴を文章化し、プレゼンできるよう訓練を積んでおきましょう。そうすることで、2回目の転職が決してマイナス要因ではないことをアピールできるはずです。
履歴書と面接でのアピールが最大のポイントだと思いますが、他にも2回目の転職を有利に進めるためのtipsを以下にまとめてみました。ぜひ参考にしてください。
〇SNSでの印象づくり
LinkedInなどのSNSを活用し、キャリア形成に前向きな姿勢をアピールすることも有効です。転職活動中のことは書かないに越したことはありませんが、仕事に対する意欲や成長意欲を感じさせる投稿はプラスに働くでしょう。
〇内定を得るまでは辞表提出は待つ
2回目の転職では焦りから早々に辞表を出してしまう人もいますが、内定を得るまでは我慢することをおすすめします。行き先が決まらないまま退職するより、現職にいた方が面接での立場は強くなります。
〇履歴書の写真は万全なものを選ぶ
応募する企業の採用担当者の第一印象を左右するのが履歴書の写真です。スーツ着用の上品な写真を選び、first impressionを高めることが大切です。
〇企業の採用基準を調べておく
応募先の企業が過去に何人くらいの転職経験者を採用したかなど、採用実績を調べておくことも重要です。
まとめ
20代で2回目の転職を考えている人は、転職が多すぎるとマイナスの印象を与えるのではないかと不安に思うことがあるでしょう。 しかし、2回目の転職が必ずしもマイナス要因とは限らないことを知っておく必要があります。
本記事では、2回目の転職で気を付けるべきポイントと、転職歴を積極的にアピールするための方法を解説しました。
かつてほど転職がタブー視されなくなっている今、2回目の転職をうまくプラス材料に変えることは可能です。重要なのは、一貫したキャリアのストーリーを構築し、面接などでそれを分かりやすく説明できるようにしておくこと。自分の強みと成長可能性を積極的にアピールする姿勢が求められます。
転職活動とは、単に会社を変えることが目的ではありません。自分に合った良い会社を見つけ、理想のキャリア実現に近づくための手段なのです。
2回目の転職を通じてより適した会社や業界を選び、さらなるスキル向上とキャリアアップを図るチャンスと捉える前向きな姿勢が大切です。うまく転職の経験を踏まえた自己アピールができれば、必ずや理想のキャリアパスを歩むことができるはずです。
最後に、2回目の転職を控える20代の皆さんへエールを送りたいと思います。幅広い視野を持って、自分らしい働き方を追求してください。社会人のスタート時こそ、柔軟なキャリア設計が求められる時代です。挑戦し続ける姿勢を忘れずに、自分の可能性を信じて前進してください。
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