面接で転職理由を聞かれる目的とポイント
面接で転職理由を問われるのは、ほぼ必須の質問といっても過言ではありません。面接官が知りたいのは「なぜ今の会社を辞めるのか」だけではなく、「この人が入社後にすぐに辞めてしまわないか」という不安やリスクを判断することにつながります。
したがって、転職理由を面接で問われた際には、以下の2つのポイントを意識することが大切です。
- 真実を基に、建設的な理由を考える
- 会社の問題点だけでなく、自分の成長意欲も示す
真実を基に前向きな理由を考える
嘘の転職理由を作る必要は全くありません。むしろ、嘘をつくとそれがバレた時のリスクが大きくなります。自分なりに納得のいく形で真実をベースに、面接官にとっても納得感のある理由を考えることが重要です。
会社の問題点だけでなく、自分の成長意欲も
ただ現職の会社の問題点や、自分の不満についてだけを訴えるのはNGです。自らがどのように成長しようとしているのか、意欲や目標についても併せて説明することで、前向きな印象を与えられます。
面接での転職理由は、真実を基に、入社後の成長意欲も感じられる内容を簡潔に伝えることを心がけましょう。
転職理由を上手に伝えるための5つのポイント
転職理由を上手に面接官に伝えるコツは、以下の5つのポイントを意識することです。
- 嘘の転職理由を作らない
- 言わないことをあらかじめ決めておく
- キャリアプランとの一貫性を示す
- 状況と自らの行動を具体的に説明する
- 前向きな姿勢を表現する
以下、各ポイントの解説と具体例を示します。
嘘の転職理由を作らない
嘘をつく必要はまったくありません。むしろ建設的でない嘘は、バレた時のリスクが大きくなります。面接官も転職には理由があることを十分理解しています。大切なのは、その理由を分かりやすく、入社後のイメージにプラスの影響を与える内容で説明することです。
例えば、「会社の雰囲気が合わなかった」などの漠然とした理由ではなく、「基本的な業務スキルを学ぶ機会が少なかったので、もっと育成重視の文化がある会社で成長したい」といった具体的で前向きな理由を考えることが望ましいです。
言わないことをあらかじめ決めておく
人間関係の悪さや、会社の問題点を過剰にぶつけるのは控えめにするべきです。特に個人の嗜好に関することは言わない方が無難です。
例えば、「上司の性格が合わずに退職する」というのは要注意。面接官から「うちの会社でも同じことが起きるのでは」との疑念を抱かれる可能性があります。自分の感情を抑え、もっと建設的な理由を考える必要があります。
キャリアプランとの一貫性を示す
転職理由と自分のキャリアプランに一貫性があることを示すと説得力が増します。例えば、「営業職での経験を生かし、マーケティングの分野で活躍したい」といった志向性と、転職理由がリンクしていると評価されやすくなります。
一方、キャリアプランと転職理由の間にギャップがあると、単なる現状逃避として疑われる可能性も。事前にキャリアプランを明確化しておくことが重要です。
状況と自らの行動を具体的に説明する
「時間が長かった」「状況が大変だった」といった抽象的な表現ではなく、できる限り具体的に事実を述べましょう。
例えば、「1日当たりの残業時間が平均2時間を超えていた」「プロジェクトの期間中、2週間に1日の休日がやっとだった」など、第三者からも事実として確認できる説明をすることで、信頼性が増します。
また、自らがどのように改善を試みたかについても、できる限り具体的に示すことが大切です。
前向きな姿勢を表現する
転職理由の説明には、ある程度ネガティブな内容が含まれざるを得ません。その場合、最後に「しかし、そこから学んだことも多かった」「今後はもっと大きな成果を出せる環境を目指したい」など、前向きな見通しを示すことで印象をプラスにすることができます。
以上、転職理由を上手に伝える5つのポイントでした。これらを意識することで、面接官に好印象を与えられる説明ができるようになります。
転職理由のOKとNGの具体例
ここからは、転職理由の回答例について、OKなものとNGなものを示していきます。
実際の面接で参考にできるので、典型的なケースを確認しておくことをおすすめします。
(1) 労働時間が長いための転職理由
【OK例】
前職では、突発的な案件が多く、1カ月の残業時間が100時間を超えることがしばしばでした。プロジェクトチーム内で残業の平準化を何度も提案しましたが、受け入れられませんでした。健康と家族のためにも、よりワークライフバランスを意識した働き方をしたいと考え、転職を決意しました。
【NG例】
前職は残業が多すぎて大変でした。上司は常にタスクを課してきて迷惑でした。定時に帰れるような会社を探しています。
→ 時間の長さが具体的でなく、自己中心的な印象に。改善提案などの言及もない。
(2) 給与水準が低いための転職理由
【OK例】
前職の月収は28万円程度で、他社と比べると業界平均を下回る水準でした。社内制度を利用して昇給を申請したものの、人件費削減の方針で実現可能性は低いとの回答でした。生活を安定させるために、実力に見合った給与体系の会社を探しています。
【NG例】
給料が安過ぎると感じていたので、もっと給料のいい会社に転職したいと思っています。
→ 具体的な金額の記載がなく、要望の域を出ない。改善提案についても触れられていない。
(3) 職種変更のための転職理由
【OK例】
営業職として3年間従事してきましたが、提案した新商品が上層部に却下される場面が多く、自分のアイデアを形にする機会が少ないと感じています。商品企画の部署で、消費者視点を活かした商品開発に携わりたいと考え、転職活動を始めました。
【NG例】
営業は向いていないと感じたので、事務職に転職したいです。
→ 単に仕事が合わなかったとしても、どのような点が自分に合わなかったのかが説明されていない。職種変更の動機付けが弱い。
これらの例から明らかなように、成功する転職理由には以下の共通点があります。
- 数字などを用いて具体的に説明されている
- 自らの改善提案などの行動が示されている
- 前向きな目標や意欲が感じられる
一方、NG例は抽象的、自己中心的な印象を与えがちです。実際の面接でも、OK例を参考にすることをおすすめします。
コロナ禍での転職理由ランキング
最後に、コロナ禍における実際の転職理由のデータを紹介します。
こちらはビジネスパーソン向け転職メディア「DODA」のアンケート調査(2021年11月実施)に基づく結果です。
コロナ禍での転職理由ランキング TOP5
1位 給与が安い、増えない(32.8%)
2位 会社の評価が甘い(31.4%)
3位 休みが取りづらい(27.5%)
4位 やりたい仕事ではない(19.4%)
5位 社内の人間関係が悪化(17.7%)
給与に関する理由がトップを占めています。 コロナ禍での不透明な経済状況が影響しているのでしょう。
休みの取りづらさも上位にランクイン。ワークライフバランスへの関心の高まりがうかがえます。
面接での転職理由は、自身の状況だけでなく、こうしたトレンドも意識すると良いでしょう。
まとめ(面接対策のアドバイス)
転職理由は面接で必ず聞かれる重要項目です。うそは極力避け、事実に基づいた前向きな内容を確実に伝えることが大切です。
この記事が、面接対策の参考になれば幸いです。自分の経験と照らし合わせ、自信を持って答えられる理由を事前に準備してください。
その上で、面接官の反応を見ながら、必要に応じてさらに詳細な経緯を説明することをおすすめします。面接は対話です。相手の反応に応じて臨機応変に説明する力が求められます。
最後に、入社後の成長意欲をアピールすることも大切です。
「その経験から学んだことは?」「今後どのように頑張りたいと考えているのか?」
このような前向きなフォローアップ質問にも備え、自分のビジョンを明確に持つことをおすすめします。
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