年末調整は、会社員にとって避けて通れない年末の大事な手続きです。しかし、転職した方は、前職と現職との年末調整や源泉徴収票の取り扱いで迷うことが多いようです。ここでは、転職者が年末調整で特に注意すべきポイントと、源泉徴収票の正しい取得・管理方法を詳しく解説します。
年末調整とは?
そもそも、年末調整とはどのような制度なのでしょうか。年末調整は、会社員の1年間の給与から天引きされた税金と、実際の税金の差額を精算する仕組みです。
多くのサラリーマンは、毎月の給料から所得税などが天引きされています。しかし、この天引き額はあくまで暫定的なもので、正確な税額ではありません。年収に応じた適切な税額は、各人の年収を会社が把握してはじめて計算できるのです。
例えば、年収500万円の人がいたとします。この人の場合、毎月の給料から2万円の税金が天引きされていたとします。しかし、500万円の年収に正しく対応した税額は、実は月1万8000円なのです。この場合、実額より2000円多くの税金を納めてしまっていることになります。
年末調整は、このように暫定的に天引きされた税額と実際の税額の差額を計算し、過納税額があれば精算する制度なのです。
転職時の年末調整のポイント
仕事を変えて転職した場合でも、年末調整の必要性は変わりません。むしろ、転職者は前職と現職の年末調整を両方行う必要があるため、注意が必要です。
例えば、6月に会社Aを退職し、9月から会社Bに加入した転職者がいたとします。この人の場合、会社Aには16月分の給与の年末調整、会社Bには912月分の給与の年末調整をそれぞれ実施してもらう必要があります。
双方の勤務実績を総合して初めて、正確な税額計算ができるからです。
マイナンバー制度が導入された現在、転職時には新しい勤務先にマイナンバーを提出することも求められます。この点も忘れずに済ませましょう。
源泉徴収票の確実な管理が不可欠
年末調整で欠かせないのが、源泉徴収票の取得です。これは、勤務先が従業員の税金を源泉徴収した証明書です。年末調整時にすべての勤務先からの源泉徴収票が必要となるため、前職分も含めて提出を受ける必要があります。
したがって、転職時には前職から源泉徴収票の発行を必ず依頼するようにしましょう。年末調整の資料として確実に保管しておきます。12月給与の受け取り時が発行時期のケースが多いので早めの確認を。
また、税法上は源泉徴収票を5年間保存する必要があります。GIFなどのデータとしてPC内に保存する、タブロイドに入れて書類で保管するなど、自分なりの管理方法を定めることが大切です。
まとめ
年末調整は転職後も必ず実施する必要があります。前職と現職それぞれにおいて、適切な対応を心がけましょう。源泉徴収票は5年間保管する義務があるため、転職時には前職分の票を必ずもらって管理しましょう。以上のポイントを押さえ、転職に伴う年末調整をスムーズに完遂しましょう。
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