多くの転職を重ねた方や、短期間の仕事を繰り返した方は、履歴書の職歴欄に全ての職歴を記載することが難しいという悩みを持っていることでしょう。職歴欄にすべて記載できないからと言って職歴を省略するのは危険です。この記事では、職歴を省略することのリスクとデメリットをお伝えした上で、工夫次第で全ての職歴を記載できる方法をご紹介します。ぜひ参考にして、安心して応募できる履歴書作成を心がけてください。
職歴を省略するリスクとデメリット
履歴書の職歴欄が足りず、職歴の一部を省略しようと考える人もいるでしょう。しかし、職歴の省略は大きなリスクをはらんでいます。
経歴詐称の疑いを招く可能性
履歴書には原則として、すべての職歴を正確に記載する必要があります。職歴の一部を省略した場合、応募先の企業から「経歴詐称ではないか」と疑われてしまう可能性があります。企業にとって大切なのは「正確な職歴」です。省略があると敬遠されてしまうでしょう。
採用前の調査で発覚する可能性
仮に省略したことが見つからずに内定をもらったとしても、採用前に応募者の職歴を調査する企業は少なくありません。前職への照会などを通じて、省略していた職歴が発覚する可能性があります。その場合、内定が取り消されるなどの事態に発展することも考えられます。
入社後に発覚し不信感を抱かれる可能性
入社後に、年金手帳などから省略していた職歴が明らかになることもありえます。その場合、入社前から企業に事実を伝えていなかったことになり、重大な信頼失墜につながるおそれがあります。最悪の場合、信頼を失ったという理由で解雇されることすらあり得るのです。
このように、職歴の省略はリスクだけが先行し、メリットはありません。履歴書にすべての職歴を記載することが大原則なのです。
職歴を省略せずに記載するコツ
それでは、職歴が多くて書き切れない場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。実は、記載スペースに制限がある中でも、工夫次第で全ての職歴を記載する方法は存在します。ここからは、具体的な記載方法をご紹介します。
学歴欄を省略して職歴欄を広くする
一般的な履歴書では、学歴欄と職歴欄が共通のスペースに設けられていることが多いのですが、学歴の記載を省略することで職歴欄のスペースを確保できます。
学歴は義務教育修了以降を記載するのが基本ルールですが、職歴欄を広く取りたいのであれば、高校卒業以降の学歴記載を省略するという方法もあります。ギリギリまで職歴を記載したい場合に有効な手段といえるでしょう。
1行に入社と退社を記載する
通常、入社と退社は別々の行に記載しますが、1行でまとめて記載するという方法もあります。例えば以下のように記入することで、倍の数の職歴を記載できるのです。
2015年4月 ・・・株式会社 入社 2018年3月 ・・・株式会社 退社
転職用の広い職歴欄の履歴書を利用する
転職用に作られた履歴書では、学歴欄が簡素化され、職歴欄が広く取られているものが多くあります。一般的な履歴書フォーマットにこだわらず、転職用履歴書を活用してみるのも一つの手です。
インターネット上には、WordやExcelの履歴書テンプレートも豊富に公開されています。テンプレートならば自分でレイアウトを調整できるため、職歴欄を広く取るなどのカスタマイズが可能です。フォーマットに合わせて職歴を削除するのではなく、フォーマットを職歴に合わせるという発想の転換が必要なのかもしれません。
職務経歴書を併用する
履歴書で職歴を記載しきれない場合、職務経歴書を併用する方法も効果的です。履歴書には主要な職歴の要点を記載し、詳細は職務経歴書に任せるというやり方です。中途採用では職務経歴書の方が重視される傾向にあるため、履歴書の職歴欄に固執する必要はないのです。
採用担当者を意識した記載のポイント
さて、ここからは職歴の記載における基本ルールを確認していきましょう。採用担当者が職歴の記載をどのように見ているのか、考え方を意識することが大切です。
会社名は正式名称で省略せず記載
会社名は正式名称で、省略せずに記載する必要があります。スペースが足りなくても、「(株)」や「(有)」などの省略表記は避けるべきです。採用担当者にとって、省略された職歴では評価しにくいのです。
退職表現は「退職」を使用
「退職」と「退社」では、「退職」のほうが就業を終えたことを明確に示しています。退職理由も簡潔に記載しましょう。「一身上の都合により退職」「契約満了に伴い退職」など、定型文を利用するとスムーズに記入できます。
このように、採用担当者の立場に立って記載することで、職歴の信頼性がより高まるはずです。
職歴を記載しきれない場合の代替手段
以上の方法を用いてもなお、職歴の記載が難しい場合もあるでしょう。そのようなときに有効なのが、別紙を使用する方法です。
別紙で詳細を記載し、履歴書に要点のみ 別紙に職歴の詳細をすべて記載し、履歴書には主要な職歴のみを記入するというやり方です。ただし、履歴書の職歴欄に「別紙参照」のみと記載するのは避けましょう。少なくとも主要職歴と別紙参照の旨を併記する必要があります。
オンライン履歴書の活用
最近ではオンライン上で作成・提出できる電子履歴書を活用する方法もあります。電子履歴書なら制限のある紙面ではなく、スクロールできるウェブページ上に職歴を記載できるため、紙の履歴書以上に情報を詳細に記入することが可能です。
職歴欄にすべて収まらないからと言って職歴を省略するのではなく、あくまで記載方法を工夫することが重要なのです。
おわりに
この記事では、職歴が多すぎて履歴書の職歴欄に書き切れない場合の対策を解説しました。職歴を省略することのリスクを理解した上で、記載スペースの制約下でも全て記載できる方法があることをご認識いただけたでしょうか。
応募先の企業にとって、履歴書はあなたの過去と現在を知る手がかりとなります。正確な職歴を伝えることで、採用担当者からの信頼を高められるはずです。記載方法を工夫することで、安心して応募活動に臨むことができるでしょう。ぜひ履歴書作成の参考にしてください。
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