年末に転職したら年末調整はどうなる?前職と新職の調整手続きを詳解

目次

年末調整とは

年末調整とは、1年間(1月から12月まで)に企業が従業員に支払った給与と、源泉徴収した所得税などを確定する制度です。

会社は従業員の給与から源泉徴収といって所得税などを天引きしていますが、この源泉徴収の額は必ずしもその人の納めるべき税額と一致しているとは限りません。

そこで、会社は12月の給与支払時に、その人の年収と税法上の控除などをもとに正しい税額を再計算し、源泉徴収した税額との差額を精算するというのが年末調整です。

多くの場合、源泉徴収された税額の方が実際の税額よりも多めになるため、年末調整は所得税の「還付」を受ける機会となります。

年末に転職した場合の年末調整の流れ

それでは、タイトルのテーマである「年末に転職した場合」の年末調整はどうなるのでしょうか。

基本的な流れとしては、

  1. 12月に新しい会社に在籍していれば、年末調整は新しい会社で受ける
  2. 前の会社での給与支払い分の源泉徴収票が必要になる

という2点がポイントとなります。

新しい会社での年末調整を受けるためには、前職分の源泉徴収票を準備する必要があります。この源泉徴収票がないと、その年の正しい課税所得を計算することができないため、年末調整を受けられなくなってしまいます。

具体的なケースごとの年末調整の仕方

年末に転職した際の典型的なパターンをいくつか見てみましょう。

ケース1: 10月に退職し、年内に再就職が決まらず

10月に前職を退職し、年内いっぱいフリーの状態が続く場合は、どうなるでしょうか。

この場合、12月末時点で企業に雇用されていないため、所属する会社がなく年末調整を受けることはできません。

したがって、翌年の確定申告で前職分の源泉徴収票を使用して、所得税の還付手続きを自分で行うことになります。

ケース2: 12月入社だが給料支給が翌月

次に、12月に新しい会社に入社したものの、給料支給日が翌月だった場合はどうでしょう。

このケースでは、12月に実際に給与の支払いがないため、ある企業では年末調整を実施しないことがあります。

しかし、法律上は1月中に調整を行えば問題ないため、1月の給料分を含めて年末調整を行う企業もあります。

入社前に人事部に確認することをおすすめします。

ケース3: 前職の源泉徴収票が間に合わない

この場合は、源泉徴収票が提出できない以上、年末調整を受けることはできません。

前職に再発行を依頼するなどして源泉徴収票を用意するか、確定申告による還付手続きの準備を進める必要があります。

ケース4: 1年で複数回の転職がある場合

1年の間に複数回転職した場合は、すべての勤務先から源泉徴収票が必要になります。

例えば、A社→B社→C社へと転職した場合、A社とB社の源泉徴収票をC社に提出することになります。

ケース5: 兼業や副業がある場合

副業などで複数の会社から給与所得がある場合も年末調整はできません。

いずれの場合も、前職からの源泉徴収票と新職の給与データが揃っていれば、スムーズに年末調整を受けることができます。

以上が典型的なケースにおける年末調整時の留意点でした。

転職時に必要な書類と手続き

転職時の年末調整で必要となる主な書類は以下の通りです。

●源泉徴収票

これは前職からもらうものです。年末調整をするためには絶対に必要なものなので、退職時に忘れずにもらうようにしましょう。紛失してしまった場合は再発行依頼が可能です。

●給与所得の源泉徴収票

新しい会社での給与のデータです。会社が勤務実績などから自動的に生成します。

●住民税特別徴収税額決定・変更通知書

住民税の額も年末調整の対象となります。前職分の住民税データが必要な場合もあります。

  • 生命保険料控除証明書
  • 地震保険料控除証明書
  • 寄附金受領証明書
  • 医療費控除の明細書

これらの控除証明書類も税額計算に必要なデータとなります。該当するものがある場合は用意しておきましょう。

手続きとしては、退職時に前職から必ず源泉徴収票をもらうことが第一歩です。

新しい会社では入社時にこれらの書類を人事に提出し、年末調整を申し出ます。12月の給与支給時に調整された税額が支払われるのが一般的な流れです。

年末調整がうまくいかない場合の対処法

転職により、年末調整がスムーズにいかないケースも少なくありません。その場合の対処法は以下のような方法があります。

●前職に源泉徴収票の再発行を依頼する

紛失や破損などの場合は再発行を申請できます。

●新職に確定申告をする旨を伝える

年末調整が受けられそうにない場合は、人事に確定申告で対応することを連絡しましょう。

●税理士に相談する

不明点が多ければ税理士に相談するのが安心です。

●国税庁の確定申告会場を利用する

会場に行けば手続きを支援してもらえます。予約が必要な場合も。

いずれにしろ、年末調整は前職との連携が不可欠です。早めの対応がスムーズな手続きにつながります。

年末調整まとめ

以上、年末に転職した場合の年末調整の基本的な流れと留意点を見てきました。

転職者の年末調整のポイントは、

  • 12月に新しい会社にいれば新しい会社で調整を受ける
  • 前職の源泉徴収票が必須
  • 書類等が揃わない場合は確定申告で対応

という3点に集約されます。

円滑な年末調整を行うには前職との連携が欠かせません。手続きの流れを理解した上で、早めの準備をおすすめします。

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